STAFF
海港都市研究センター センター長
専門分野/南アジア史、イスラーム史、インド洋海域史
南アジアにおけるムスリム社会の歴史を、南アジア史の流れと、隣接する諸地域との交流関係という二つの視点から総合的に解明することが私の研究の目標です。前者の視点に関しては、ムガル帝国時代の歴史書に関するヒストリオグラフィー研究を行ってきましたが、現在はこうした基礎研究を踏まえて、国家制度史の研究に取り組んでいるところです。また後者に関しては、ペルシア語文化圏やインド洋海域という新たな切り口から、イスラーム関係資料ばかりでなく、欧語資料も用いて研究を進めています。
専門分野/日本近代史
主な研究領域は、地域社会の形成のあり方の分析を中心とした、日本近代国家および近代社会の形成過程の特質の解明。この視点からの神戸市の形成史や「満洲国」における地方統治のあり方についても研究を展開。神戸市、姫路市、小野市、三田市等の自治体市編纂にも関与。阪神淡路大震災以降は、地域遺産の保存活用の実践的研究についても、歴史資料ネットワーク代表委員、内閣府「文化財保護と防災まちづくりに関する委員会委員」等として展開。文学部の地域連携センター事業責任者として、この分野での大学と市民との連携事業を展開。
専門分野/地域社会学・ラテンアメリカ社会研究
修士時代から、中米・ニカラグア共和国におけるエスニシティや文化構築について調査・研究してきました。また、メキシコ・チアパス州における先住民運動の展開とその社会的作用についても調査を進めています。最近は、関西在住のラテンアメリカ出身者(いわゆる『日系人』を中心とした)の社会関係形成に注目したフィールドワークを行なっています。歴史的・社会的諸力の交錯において、思いもよらない出会いや意外な「主体」が発現する局面に興味を持って研究を行なっています。
専門分野/中国現代文学
二〇世紀の中国語文学に現れる女性表象に関心を持っています。「中国語文学」とは耳慣れないことばですが、中華人民共和国に限らず、台湾や香港、あるいは米国、東南アジアの華僑が中国語を用いて創作した文学における女性像の変遷を文学史全体の中に位置づけることを最終的な目標として考えています。現代中国語圏における文化を考える上で、映画や演劇など、文字媒体によらない芸術にも目を向けていきたいと考えています。
専門分野/社会地理学・都市論
フィールドワーク研究と都市論研究という二つの方法から、現代都市の社会地理を探究しています。フィールドワーク研究では、寄せ場として知られる大阪の釜ヶ崎や港湾の戦後史、野宿者のコミュニティなどをフィールドとする研究活動を重ね、社会・空間的排除のメカニズムの解明や社会運動の動態の記述を目指してきました。また、都市論研究の面では、アンリ・ルフェーブルやデヴィッド・ハーヴェイなどの思想を手がかりとして、ポストフォーディズムやジェントリフィケーションといった現代的事象の把握を試みてきました。これらの視点から、現代都市社会を総合的に捉え、批判的に記述することを目指しています。
専門分野/家族社会学・ 歴史人口学
「家とは何か」を中心テーマとし、近世から現代までの家族の変容プロセスを探求しています。家族という集団を分析するのみならず、名も無き人々のライフコースにも着目し、個人の視点から家をとらえなおすことで、家論に新たな視点を提供し、家族変動論の再構築をめざしています。その一方で、ヨーロッパ家族との比較にも関心をもち、直系家族社会における近代化と親族紐帯の変容や、夫婦家族的伝統をもつイギリスと直系家族的伝統をもつ日本との親族ネットワークの異同についても考察を進めているところです。
専門分野/歴史地理学
江戸時代とそれ以前の中世を専門とし、研究対象は二つに大別されます。一つは古地図で、江戸幕府が各国毎に担当を決めて作成させた国絵図や中世に描かれた荘園絵図などです。一方で、中世に絞って、商品流通も研究しています。商品流通が交錯する場として都市の占める比重が大きい現代に対し、都市自体がマイナーな存在だった中世における都市の意味を問うています。絶対的な中世都市であった京都方面への求心的な流通の一例として、近年では、兵庫に設置されていた北関の関銭徴収史料(1445年)を用いて瀬戸内水運を具体的に考察する研究を進めています。いずれも、歴史地理学の研究可能性を拡げることに貢献できると考えています。
専門分野/近世アイルランド史・ブリテン史
ダブリン大学でのPhD研究では1692~1713年の対仏海上戦争がアイルランドの社会・経済に与えた影響について多角的に分析しました。現在は17~18世紀のブリテン諸島を結んでいた海上ネットワークについて解明するために、アイルランド近海において海上貿易の防衛システムが形成・運用される過程を調査しています。