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第15回歴史文化をめぐる地域連携協議会「地域歴史文化をめぐる〈場〉―つながりを生み出す環境づくり―」
2016.12.28
神戸大学大学院人文学研究科地域連携センターでは、2002年の発足以来、さまざまな地域活動に携わる中で、多様な立場の人やグループが歴史文化を活かした地域づくりを展開する〈場〉というものの重要性を認識するようになってきました。〈場〉といってまず想起されるのは空間的な〈場〉のことで、主として施設などの〈場〉です。私たちのこれまでの活動との関わりで挙げるならば、三木市の玉置家住宅、尼崎市立地域研究史料館、朝来市生野書院などで、さまざまな地域活動の拠点として活用されています。こうした拠点となる施設の存在が人々の地域活動を支えています。
同時に、〈場〉は、人々のつながり・関係が作り出しているという面もあります。それは、さまざまな考え・立場の人々が寄り集まり活動を展開するいわば公共的な〈場〉、コミュニティとしての〈場〉です。当センターの活動に則してみれば、尼崎市の富松城跡を活かすまちづくり委員会や、丹波市の棚原パワーアップ委員会、氷上古文書同好会などの活動が想起されます。
本来、人々のつながりや関係としての〈場〉は、必ずしも施設のような空間の存在がなくても形成可能ですが、公民館のような施設があることで活動が促進、維持される面もあり、空間的な〈場〉は地域活動にとって重要な意義があります。他方、空間的な〈場〉としての施設もそれが単なるハコモノに陥らないためには、さまざまなグループがそこを拠点に持続的に活動し、またそれを可能とする運営が行われていることが重要です。空間としての〈場〉と、人々のつながりとしての〈場〉は、重層的に存在しており、この両輪があってこそ大きな効果を発揮すると考えられます。
地域における研究、教育拠点としての性格をもつ大学も、上記のような二重の〈場〉としての役割を求められています。大学は〈知〉の拠点として、地域の方々と一緒に研究を持続的に進め、新しい世代を育成する〈場〉としての意義を果たすようになってきています。
このように考えて、私たちは今回の地域連携協議会のテーマを「地域歴史文化をめぐる〈場〉―つながりを生み出す環境づくり―」とし、歴史文化を核にさまざまな人やグループが協働する〈場〉を構築することで地域づくりを実践している方からの報告を用意しました。とりわけ今回ご報告いただく地域史料保全有志の会の活動は、長野県栄村での個人的な古文書調査をきっかけに、他の学問分野との協働、さらに震災という事態を経て、地元への成果還元活動、行政を含めた地域住民との地域づくり活動、さらには空間的な場(施設)の開設にまで至っており、〈場〉の二重性を考える上で大いに参考になると思われます。今回の協議会を通じて、歴史文化を活かした地域協働の〈場〉のあり方をめぐって包括的に話し合いたいと思います。
私たちはこの協議会自体が、多くの参加者の間でつながりが生み出される〈場〉となることを願っています。そのため協議会の合間にできる限り時間をとり、各団体の方々が交流できるコーナーやポスターセッションの場を設けたいと考えています。多くの方々に活動の成果物や書籍をお持ち寄りいただき、展示・交流していただければ幸いです。多数のご参加をお待ちします。
開催概要
- ・日 時 2017年1月29日(日)11:00~17:00
- ・会 場 神戸大学瀧川記念学術交流会館2階大会議室
- ・参加無料 事前申込制(定員70名)
- ・申し込み方法 案内ちらし(PDF形式)をご覧ください
- ・申込締切 2017年1月23日(月)
- ・報 告
- 伊藤導三(氷上古文書同好会代表世話人)
「氷上古文書同好会の活動の経緯
―結成から区有文書目録の完成まで―」 - 中島雄二(朝来市生野支所地域振興課参事・生野書院副館長)
「歴史遺産を活かしたまちづくり」 - 石野律子(神奈川大学日本常民文化研究所/地域史料保全有志の会副代表)
「村が経糸、会が緯糸となって織り成す栄村歴史文化館」 - 進藤輝司(三木古文書研究会)
「襖下貼り文書の解読と市史編さんボランティア」 - 川内淳史(神戸大学大学院人文学研究科特命講師)
「自治体史編さんという〈場〉―三木市における地域活動と歴史文化―」 - 井上舞(神戸大学大学院人文学研究科学術研究員)
「生野書院という〈場〉での古文書整理」 - 大津留厚(神戸大学大学院人文学研究科教授)
「青野原俘虜収容所研究と地域社会―15年目の総括―」 - ・情報交換会(瀧川会館1階/会費制) 17:30~19:30
- ・関連リンク 人文学研究科地域連携センター(http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~area-c/)
- ・主 催 神戸大学大学院人文学研究科
- 神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター
- ・共 催 兵庫県教育委員会
- COC+ひょうご神戸プラットフォーム協議会
- 科学研究費基盤研究S「災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立
──東日本大震災を踏まえて」研究グループ(研究代表者・奥村弘) - ・問い合わせ先
〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1 神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター(担当木村) - E-mail area-c@lit.kobe-u.ac.jp(@を半角に変えて下さい)
- TEL/FAX 078-803-5566