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人文学研究科長からのメッセージ

神戸大学文学部の前身である文理学部は、今から三四半世紀前の第二次世界大戦後まもなく、1949年に設置されました。その第一回入学案内は、「応用的学問、職業的学問をもっぱら重視し、基礎的な学問の探求、それを通じて養われる科学的精神の育成という面を軽視してきた弊」が「敗戦後の今日においても依然として根強く学界、教育界を支配している」とし、「科学的精神を身につけた健全な市民を育成することが最も急務である」と述べ、人文学の重要性を主張しています。

この理念のもと、1968年には文学研究科修士課程が、1979年には博士課程のみの文化学研究科が設置されました。さらに2007年には文学研究科および文化学研究科を改組して人文学研究科(博士課程前期課程・後期課程)を設置し、学部-博士課程前期課程-後期課程という継続した教育体制を確立しました。

人文学は、人間とは何かという根源的な問いを土台に、人間が生み出してきた歴史や文化や社会について深く考え、明らかにしていこうとする学問です。科学技術が日々発展し、生活のあり方が大きく変化するとしても、人間が人間である限り、人間のあり方を問う基礎科学としての人文学の役割はますます重要なものとなっています。

人文学研究科では、哲学、倫理学、国文学、中国・韓国文学、英米文学、ヨーロッパ文学、日本史学、東洋史学、西洋史学、心理学、言語学、芸術学、社会学、美術史学、地理学といったディシプリンに基づく教育研究を大切にしつつ、同時に、既存の学問の枠を超えた「人文学推進インスティテュート」(「地域連携センター」、「倫理創成プロジェクト」、「日本語日本文化教育プログラム」、「神戸雰囲気学研究所」、「文化交渉学研究プログラム」)において分野横断的な教育研究を行い、古典的な学問の基盤の上に、現代的な課題に果敢に取り組んでいます。

人文学研究科はまた、大学間協定、部局間協定に基づく諸大学との間をはじめ、国際的な学術交流も積極的に進めています。

このように人文学研究科は、人類の叡智の蓄積としての古典と現代的問題を結びつけて考えながら、広く人間について考えるという人文学的営為を展開しています。「人文学諸分野に関心を持ち、既成の価値観にとらわれることなく、自分で問題を発見し、追究していく情熱を持っている人」、「研究者としての自覚をそなえ、自らの学術研究を学際的かつ国際的な幅広い視野のなかで展開していく意欲を持っている人」(「人文学研究科アドミッションポリシー」より)である皆さんと、ともに学ぶことを心から楽しみにしています。

人文学研究科長
白鳥 義彦

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