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文学部長からのメッセージ

文学部の前身である文理学部が1949年に神戸大学に設置されて、来年で70年になります。その第1回入学案内は、敗戦後の日本の中で基礎的な学問を担う学部の必要性を、強く訴えています。

そこでは、日本の近代化の中で、基礎的な学問の探求、それを通じて養われる科学的精神の育成が軽視されてきたこと、それが敗戦後においても、依然として根強く学界、教育界を支配しており、日本の文化的水準の立遅れを生みだしており、その状況を変え、日本社会が世界的な文化水準に達するためには、「基礎的な学問軽視の弊風を徹底的に改め、科学的精神を身につけた健全な市民を育成することが最も急務である」として、総合大学の中で、基礎科学である人文学を担う学部の役割が重要であると述べています。

この理念のもと、文学部は、人間とは何か、人間はどんな歴史を形成してきたのか、人間は文学作品や芸術作品を通してどのような想像力を働かせてきたのか、文化を根本から支える認知の枠組みや言語はどのようなものか、人間は社会や社会がそこにおいて形成される空間をどのようにして組織化してきたのか、等々の問いを、人文学の主題として、教育研究を持続的に深化させ、文化に関わる様々な領域で、多くの卒業生を送りだしてきました。

現在、文学部は哲学、文学、歴史学、心理学、言語学、芸術学、社会学、美術史学、地理学など15の専修によって構成されています。それぞれの領域で接近の仕方は異なっていますが、人類が創ってきた文化の意味を、その根本に立ち返りながら追求していくものであり、その総体が、人文学を構成しています。

学部設立時とは違った形で、私たちの世界は大きな変動期を迎えています。世界の人々を瞬時に結びつけるテクノロジーが急激に発達し、世界と国家、地域社会の関係、それを支えてきた価値観も大きく変動しています。また地球温暖化の進行によると思われる大規模な自然災害が続発し、日本列島では、阪神・淡路大震災や東日本大震災等、大規模な地震災害が日常化するなど、人間の存在自身が大きく脅かされる状況が生まれています。この中で、人間のあり方を根源から問う基礎科学としての人文学の役割はますます重要になっています。

私たちは、このような状況に対応するため、専修を基礎とした少人数教育を徹底するとともに、オックスフォード大学等と提携した国際交流カリキュラム、国際港湾都市神戸という魅力的な場を介した地域社会の中での実践的教育カリキュラムなどを通して、古典的な学問を継承し、文化を創造しうる人材を社会に輩出することを目指しています。

言葉や文化、人間の行動、歴史や社会に対する幅広い関心と好奇心を持ち、既成の価値観にとらわれることなく、自分で問題を発見し、探求していく。またそのために必須とされる論理的思考力、日本語および外国語の読解力・表現力の修得にねばり強く取り組んでいく、そのような学生を求めます。

神戸港を望むキャンパスの中で、ともに学べることを期待しています。

文学部長
奥村 弘
(OKUMURA Hiroshi)

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