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【2018年11月18日(日)開催】連続企画「人文学と批評の使命Ⅲ」シンポジウム「批評と文学の他者――固有名と翻訳をめぐって」のお知らせ
2018.11.02
批評は文学的なものの外部にあるのか、それとも内部にあるのか?創作と批評という営為を切り分けるべく提出された近代の問いを思考する手始めとして、文学的なものそのものに仕掛けられた「外部」を考慮することは有効ではないだろうか?文学的なものの「開かれ」を矛盾した仕方で保証する装置としての「固有名」、および文学を半ば暴力的な仕方で開く行為としての「翻訳」について考えることで、文学に潜む批評性(すなわち「内部にある外部」)について検討する機会としたい。文学とは、多くの作品がそのタイトルにおいて示すように「固有名」をめぐる記述の試みではなかったか。だが同時に「固有名」には、絶対的に翻訳不可能でありながら翻訳されざるを得ないという宿命も備わっている。今回は、英文学における「名」をめぐる画期的な連載「小説の機能」(1〜5、『群像』2014〜2016年)を完結させた武田将明氏(東京大学)、およびフランスとドイツを中心にした近現代批評理論をベースに言説と暴力性の関係を研究する影浦亮平氏(京都外国語大学)、ウィトゲンシュタイン研究を中心に、言語・心・行為をめぐる近現代の英語圏およびドイツ語圏の哲学・倫理学を専攻する古田徹也氏(専修大学)をお呼びして、文学的な営為の本来的な射程を検討したく思う。そこでは、研究・批評・翻訳を中心に展開されてきた人文学のポジティブな可能性が新たに確認されることだろう。
開催概要
- <会場> 神戸大学文学部C棟大会議室
- <日時> 2018年11月18日(日)
- <プログラム>
- 13:30
開会挨拶+趣旨説明 大橋完太郎(神戸大学) - 13:40-14:30
武田将明(東京大学) 唯名的欲望──18世紀イギリスにおける小説の生成 - 14:30-15:20
影浦亮平(京都外国語大学) ヴァルター・ベンヤミンの哲学における批評と翻訳 - 15:20-15:40 休憩
- 15:40-16:30
古田徹也(専修大学) 「シューベルトという名前はシューベルトにぴったり合っている」――ウィトゲンシュタインの言語論と翻訳の問題 - 16:30-17:30
総合討論 武田将明・影浦亮平・古田徹也・大橋完太郎・梶尾文武(神戸大学) - 18:00- 懇親会
- <発言者プロフィール>
- 武田将明氏
東京大学准教授。英文学。「囲われない批評―東浩紀と中原昌也」で第51回群像新人文学賞評論部門を受賞。主な著作に「小説の機能」(『群像』2014‐6年)。訳書にデフォー『ロビンソン・クルーソー』(河出文庫、2011年)等。 - 影浦亮平氏
京都外国語大学講師。哲学・批評理論。主な共著に "Joseph de Maistre and his Eu-ropean Readers" (2011年)、 『現代スペインの諸相』(明石書店、2016年)。論文に「陸羯南の国体論に対するジョゼフ・ド・メーストルの影響」(2018年)等。 - 古田徹也氏
専修大学准教授。哲学・倫理学。2006年に和辻賞受賞。主な著作に『それは私がしたことなのか』(新曜社、2013年)、『言葉の魂の哲学』(講談社選書メチエ、2018年)。訳書にウィトゲンシュタイン『ラスト・ライティングス』(講談社)等。 - <主催> 神戸大学大学院人文学研究科若手研究者支援プログラム