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【2022年8月27日(土)開催】シンポジウム「近世俗文芸の作者の〝姿勢(ポーズ)〟―序文を手掛かりとして」のお知らせ

2022.08.23

中村幸彦は『戯作論』(角川書店、1966)で、近世俗文芸の作者は基本的に知識人であり、〝余技〟として綴った読本や狂歌といった俗文芸作品に対して、彼ら自身が見識や見得を以て「戯」の遁辞を用いたことを指摘する。

遁辞を用いたのは、〝余技〟を、和歌や漢詩といった雅文芸と区別する意識があるためである。言い換えれば、作者は、雅俗にわたる文芸、営為の中に自身の作品を位置づけながら、その位置にふさわしい姿勢(ポーズ)をとっているのであり、作者の姿勢の在り方は、俗文芸の世界に遊ぶという営為の本質であると考えられよう。我々は、作品とともに〈作者〉の虚構性について意識的にならなければならない。

さて、飯倉洋一が「『春雨物語』序文考」(『秋成考』翰林書房、2005)で「『春雨物語』の虚構は序文からすでにはじまっており、『春雨物語』各篇の語り手同様、序の書き手も秋成によって設定された虚構の人物である、という考え方も成立しうる」と述べたように、〈作者〉のふるまいを考える上で、序文の虚構性は重要な手がかりとなるだろう。

このシンポジウムでは、特に18世紀・19世紀の上方・江戸の知識人たちによって綴られた、演義小説、読本、狂詩・狂文、草双紙といった諸ジャンルの序文を切り口に作者の姿勢について論じ、当時の知識人らにおける雅俗観や作者の虚構性といった問題について、新見を得ることを目指す。

開催概要

発言者
丸井貴史(専修大学准教授) 序文の虚実―『太平記演義』を中心に
天野聡一(九州産業大学准教授) 『雨月物語』序文小考
飯倉洋一(大阪大学名誉教授) 作られた序者―『ぬば玉の巻』と『春雨物語』に即して」
小林ふみ子(法政大学教授) 主体の虚構性と実体性―大田南畝周辺から
有澤知世(本学助教) 自序に登場する〈作者〉―山東京伝の戯作から
日時
2022年8月27日(土)14:00~18:00
会場
文学部B棟1階視聴覚室(Zoom併用)
主催
神戸大学文学部国語国文学会
問合せ先
kokubun_ronsou[AT]yahoo.co.jp (『国文論叢』編集事務局)
※メールアドレスの[AT]を@に変更してください。

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