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「蟻の兵隊」上映会/池谷薫監督講演会のお知らせ
2023.02.13
「終戦」後、中国で国共内戦を戦った日本兵がいたことを知っていますか
◯開催概要
- 3月15日 午後2時半〜午後6時(予定)
- 神戸大学百年記念館六甲ホール
- 事前申し込み不要
- 詳細はポスターPDFをご覧ください
◯池谷監督より
元山西残留兵士で「蟻の兵隊」にご出演いただいた百々(どど)和さんは、長らく神戸大学経済学部の教授を務められた。終戦時に少尉だった百々さんは、師団司令部で残留部隊の編成を命じられた。その経験から軍のアリバイ工作の生々しい実態を昭和31年の国会で証言し、山西省残留問題をめぐる訴訟でも原告の一人として重要な役割を担った。
彼の波乱の人生を思う。百々さんは高邁な理想のもと満州に設立された建国大学の1期生。その彼が山西残留兵士となり、敗戦後なおも4年間、戦争を続けさせられた。その後捕虜となって7年もの抑留生活を送り、ようやく日本に引き揚げたのは昭和31年のことだった。
心身ともに疲れ果てた百々さんが、どうしても叶えたかった夢……それは大学院に入学して、もう一度学び直すことだった。復員のわずか3カ月後に神戸大学に願書を提出。翌年、晴れて経済学研究科の院生となるが、このときすでに38歳。その後も苦学を重ね、いくつかの大学で教鞭を執りながら博士号を取得し、ついに母校の教授となった。彼の数奇な運命は、建国大生のその後を追った『五色の虹』(三浦英之著・集英社)にも描かれている。
百々さんは本ドキュメンタリーの中心人物である奥村さんと同じ2011年に92歳で亡くなった。温和な一方、曲がったことが大嫌いな、頑固な一面を感じさせる方だった。
今度の上映を百々さんに捧げたいと思う。