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博士課程前期課程のキャリアパス

入学から卒業までの流れ
令和2年度人文学研究科博士課程前期課程修了者のキャリアパス
人文学研究科博士課程後期課程進学者 30.0%
その他の進路 70.0%

人文学研究科はすぐれた研究者を養成する場であるのみならず、高度な専門的知識やスキルをもった職業人を養成する場でもあります。人文学という学問を通して身につけた考える力、資料文献を読みこなす力、論理的な文章を書く力などが、社会人になってからも大いに役に立つことは言うまでもありませんが、それと同時に前期課程ではさまざまな実用的技能も身につけることができます。

たとえば、大学院在学中には学会や研究会などで研究発表する機会が数多くありますが、そこで培われたプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力が就職の際にとても役立ちます。また、ドイツ語・フランス語・中国語・韓国語のような、通常は大学に入ってから初めて学ぶ外国語は、学部の4年間では就職に結びつくほどのレベルにまで達することは困難ですが、前期課程でさらに2年間集中して学ぶことによって、仕事に必要な語学力を十分に身につけることが可能になります。現地でより集中的に学ぶための交換留学の制度も整っていますので、ぜひ活用してください。

今日ではさまざまな職種で修士号を持っている人材が求められるようになってきました。中学校・高等学校教諭の普通免許状を取得する場合、修士の学位があると「専修免許状』が与えられ、後のキャリアアップの際にも有利に働きます。また、人文学研究科には「日本語日本文化教育プログラム」があり、それぞれの専門と運動させた高度な日本語日本文化教育を行うことのできる人材を育成しています。

修了者の就職状況

■2020年度修了

日本郵便㈱、越谷市役所、京都府立高等学校教員、市立淳心学院中学校・高等学校、富士通㈱、国際交流サービス協会、大和ハウス工業㈱、㈱ビジネス・アソシエイツ、㈱弥栄自動車、㈱トライアワード、㈱ユニアデックス、パーソルAVCテクノロジー㈱、㈱乃村工藝社、㈱グレッゾ、名校志向塾

■2019年度修了

㈱ゼットン、クボタシステムズ㈱、㈱ノエビア、㈱ホビージャパン、㈱日本入試センター、㈱日立ハイテク・サイエンス、㈱エヌティ・ソリューションズ、広汽トヨタ自動車有限会社、富士通㈱、日本生命保険相互会社、㈱グッド・クルー、大阪市高速電気軌道㈱、東銘㈱、中京大学事務職員、兵庫県立相生高等学校教員、姫路市役所、大阪大学事務職員、羽衣学園中学・高等学校教員、福井県庁学芸員、宇都宮美術館

■2018年度修了

出光興産、第一生命保険㈱、阪急阪神不動産㈱、SGホールディングス㈱、三菱地所レジデンス、合同会社サムワイズ、社会福祉法人くりのみ園、積水化成品工業㈱、サムティ㈱、岡本㈱、日本アイ・ビー・エム、インターグループ、共立印刷㈱、Shinwa Auction、ヨドバシカメラ・マルチメディア梅田、トヨタ高津製作所、㈱タツタ電線 テクニカルセンター、㈱ニトリ、藤枝明誠中・高等学校教員、総務省、大阪府庁、岡山県教育委員会、金子みすゞ記念館、伊丹市立高等学校教員、名古屋市立中学校教員、富山県立高等学校教員、神戸大学事務職員

■2017年度修了

㈱イプシオン、バーチャレクス・コンサルティング㈱、㈱メディックメディア、福島県立美術館、㈱ドーン、㈱Z会、日本生命保険相互会社、㈱NEXO、奈良県庁、理化学研究所、グレイステクノロジー㈱、住友ゴム工業㈱、松下家電(中国)有限公司、㈱JTB、帝塚山国際学園幼稚舎、ダイドードリンコ㈱、三菱UFJニコス㈱、深圳博物館

修了者の活動状況(所属肩書きは執筆時です。)

斉賀 万智(国文学)

兵庫県立高校教諭
2016年3月修了

人文学研究科博士課程前期課程を修了し、現在、生まれ育った地である兵庫県の高等学校にて教鞭を執っています。毎日の授業や部活動などで慌ただしい日々を過ごしていますが、毎日が新たな発見の連続であり、言葉では形容し難い充実感を味わっています。
神戸大学における二年間の院生生活では、古から現在に至るまで読み継がれてきたテキストを研究対象に据え、同時代の様々な文献を博捜しながら、自ら掲げた問いの解明に努めてきました。このような研究生活を通して、テキストに記されている一言一句に着目することの大切さ、そしてそこに意味を見出すことの面白さを深く学ぶことができました。ここで培った経験は、今、高等学校の授業を組み立てる過程においても、存分に活かされています。例えば、最近の授業では、中島敦の『山月記』を読んでいますが、その中で何度か「月」に関する記述が出てきます。“なぜ「月」に関する記述を行う必要があったのか”このような問いを投げかけると、生徒は多様な視点からそれに答えようとします。このように、普通なら読み飛ばしてしまうような一言一句に着目させることで、新たな解釈を見つけることができ、そして何より生徒の思考力や想像力を伸ばすことにもつながると考えられます。
教師生活は大変なことも多いですが、無限の可能性を見い出すことのできる職に就けたことを幸せに思い、これからも精進していきたいと思います。

長尾 理佳(国文学)

博士課程前期課程修了生
2019年修了

私は人文学研究科で中世日本の文学について学び、博士課程前期課程を修了しました。現在は、地元である神戸・大阪に根付いた一般企業に勤務しております。

大学院で過ごした2年間で私が最も実感したものは、「正解のない問い」に向き合うことの難しさ、そして楽しさであったように思います。研究を通して真剣にテキストに向き合うことで、私は物語や日記といった文学作品に綴られているものが、文字通りの意味だけを持つものではないことを学びました。そして、自らがテキストに見出した問いを解明すべく、日々様々な史料を見比べては、自分なりの答えを探し求めていました。上手くいかないことも多く、苦しい時間もありましたが、人文学研究科での専門的な学びは、私の探究心を満たし、多くの知識と経験を与えてくれました。

私は専門知識を直接的に生かせるような職業を選びませんでしたが、大学院での経験や培ってきた能力は、就職活動においても大いに助けとなりました。この2年間で得たものを大いに活かし、社会に貢献できるよう、今後も精進していきたいと思います。 後輩の皆様にとっても、人文学の学びが、いかなる未来をも切り拓ける力となることを願っております。

吉村 航一郎(社会学)

大和ハウス工業リブネスタウン事業推進部
2021年3月修了

私は人文学研究科博士課程前期課程で社会学を学び、郊外住宅地の自治会の研究をもってこれを修了しました。そして、現在は一般企業に就職して、この郊外住宅地の再生事業に従事しています。このように幸運にも私は研究の延長線上に職を得て、この先進的な事業に毎日ワクワクしながら充実した日々を過ごしています。

さて、私は一企業の研究色の強い部署に配属されたわけですが、同期や先輩社員の皆様は理系の方で、建築や土木を学んできた人ばかりです。この環境で人文学を学んできた私が理系の方と同じように専門知識を活かせられるかというと、あまりそうとは言えません。しかしだからといって院生時代に学んだことが無駄であったとは一欠片も考えていません。というのも、人文学の学生に求められるのは幅広い教養であり、この点が理系の専門知識にも劣らない大きなアドバンテージであると感じるからです。

神戸大学人文学研究科は専修間のつながりが多いことに強みがあると考えます。実際に私も専修をまたいだ勉強会に何度か参加したりしていました。これから、企業も物ではなく人間にフォーカスしていく時代になっていくと考えます。そんな中で明快な答えをださない人文学の知の体系は、この教養という形で重要性を増してくると思いますし、専門外の人とも響き合える場所として神戸大学は最適の場であると考えます。

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