教員から高校生へ
2014年度のエール
「とらわれちゃだめだ」― 知の探究と相対的な態度
石井敬子(心理学)
夏目漱石「三四郎」の冒頭、高等学校を卒業し熊本から上京する三四郎は、汽車の中で隣り合わせになった男性(広田先生)から以下のような言葉を聞きます。「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より......日本より頭の中のほうが広いでしょう。とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓の引き倒しになるばかりだ」。これは、広田先生の姿を借りた夏目漱石の心からの声であり、100年以上経った今でも全く色褪せないものです。この言葉は、大学、特に文学部での学びについて、以下の2つのことを考えさせてくれます。 >>続きを読む