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社会文化 地理学専修

地理学とは

地理学とは、人間社会の基盤ともいえる「空間」を対象とする学問です。人間は土地と関係しながら生を営む生き物であり、社会はその舞台である空間を抜きにしては成り立ちません。ですから「空間」という視点からの問いは、人間の歴史や文化、社会や経済を根本から考えることにつながります。学問分野としての地理学には長い歴史がありますが、グローバル化する現代社会のなかでその視点はますます重要なものとなっており、哲学や社会学、心理学や建築学といった分野との対話と交流が世界的に広がっています。
さまざまな土地を足で歩き、自分自身の目で風景や景観を観察し、そこに生きる人びとの声に耳を傾けるフィールドワークは、もっとも基本的な地理学の姿勢といえましょう。そこから自分なりの「問い」を生み出し、地図や文献や統計などの資料を読み解いたり、理論的な視点を磨いたりと、試行錯誤していくことが地理学の営みとなります。そうした営みを経ることで、現代世界を新しい視点で読み解くことができるようになるでしょうし、また、積み重ねた試行錯誤の経験は、これからの社会を歩んでいくうえでかけがえのない財産となるでしょう。

授業では

講義では、専任教員による「地理学概論」、「歴史地理学」、「地域環境学」、「人文地理学」などのほか、非常勤講師により「自然地理学」、「地誌」など、多彩な科目が開講されています。また3年生前期からは専修学生のみによる少人数(5人前後)の演習が必修となり、1人年4回の発表で鍛えられていきます。発表1週間前には要旨を配布する義務があり、また仲間の発表に対しても活発な発言が求められます。演習の集大成である卒業論文のテーマは、学生の意志が尊重されますが、まずフィールドや史資料に没入し、その上でオリジナルな視点を追究することが卒業論文の最終目標です。
また2年生の必修である実習は、夏季の現地調査を頂点に展開され、この数年は筑豊、北九州、広島などで、各自がそれぞれのテーマを設定して調査を行なっています。

教員の紹介

教員名 専門分野
准教授 原口 剛 フィールドワーク研究では、寄せ場として知られる大阪の釜ヶ崎や、港湾の戦後史、野宿者のコミュニティなどをフィールドとする研究を重ねてきました。また、理論研究の面では、ポストフォーディズムやジェントリフィケーションといった現代的事象の把握を試みてきました。
これらの視点から、都市社会を総合的に捉え、批判的に記述することを目指しています。
准教授 菊地 真 文学部文化財学講座を担当し、学芸員資格のための博物館学の授業を分担しています。過去の景観復元や景観の地域における形成、継承過程を探り、文化財を含む地域の景観の維持・活用方法を研究し、教育研究成果を展示し発信しています。

最近の卒業論文から

  • 「姫路モノレールに対する場所イメージの変遷」
  • 「元町高架下商店街におけるグラフィティ ―「明るさ」と「暗さ」に着目して―」
  • 「福祉サービスの利用と地域的公正」
  • 「路上における宣伝活動を通しての都市空間の経験―大阪・ちんどん通信社を事例に―」
  • 「ネットワークからみたボランティア団体に関する地理学的考察」
  • 「鉄道会社の郊外開発による遊興空間の創出と地域の変容」
  • 「江戸時代の船乗りたちの認知距離」

卒業後は

過去の卒業生の進路は、大学院修士課程・博士課程前期課程進学(京都大学文学研究科、神戸大学人文学研究科)、教員(兵庫県、大阪市、京都府、奈良県、私立洛南高校など)、公務員(労働基準局、大阪府、岡山県、岡山市、京都市、西宮市、大垣市、香川県)および企業(川崎重工業、毎日放送、能勢電鉄、ゼンリン、日興コーディアル証券、NTTドコモ、電通、富士通テン、NTTコミュニケーションズ、日本コロムビア、日本鉄道建設公団など)と多彩です。

教員からのメッセージ

地理学とは、単純に言えば、地域/景観/場所を調査する学問です。そのため地図や統計などからの情報収集はもちろん、実際に調査地を歩き、現地の人々と折衝することで、五感を通じて身体的にそれらを理解していくことが重要となります。地理学専修では、フィールドワークや実習で各地を廻ります。参加者が各自事前に準備をして発表し、現地調査を行うのです。そうして徐々にスキルアップし、一端のフィールドワーカーへと成長していきます。

(原口 剛)

卒業生からのメッセージ

たとえば、知らない町を旅するとき、いつもと違う道から下校してみるとき、ふと路地裏に足を踏み入れるとき。ワクワクしたり、意外な発見をしたり、そんな経験はないでしょうか。土地に交わるという経験は、様々な興味や気づき、ときには疑問を私たちに与えてくれます。
地理学専修では、講義や演習に加えて実習科目が設けられています。文献を読み、実際に歩いてみるという「二本立て」の実践を通して、より厚みのある学びが得られることでしょう。何より、外へ出て、自分の目で見てその場所を体感する、それはこの上なく知的好奇心が刺激される体験ですよ!
あなたも、地図を片手にまちへ出かけてみませんか?

(川上万葉 2016年3月卒業 阪神内燃機工業株式会社)

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