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EU―日本の歴史と文化遺産に関する研究会

10月20日(水)、科学研究費補助金特別推進研究「地域歴史資料学を機軸とした災害列島における地域存続のための地域歴史文化の創成」(代表:奥村弘 神戸大学人文学研究科教授)主催で、「EU―日本の歴史と文化遺産に関する研究会」をオンライン開催しました(神戸大学大学院人文学研究科地域連携センターが開催協力)。

この会合は、奥村教授の研究プロジェクトにおいて翻訳が進められている欧州委員会文化財報告書Innovation in Cultural Heritage Research: For an integrated European Research Policy (2018 年)の著者の一人であるションコイ・ガーボル氏(ハンガリー、エトヴェシュ・ロラーンド大学人文学部教授。ハンガリー語の慣例に従い、姓・名の順に表記)をお招きし、欧州や日本の文化遺産保全や歴史研究のあり方に関してより議論を深めることを目的として実施されました。司会進行は市原晋平氏(神戸大学人文学研究科助教)、通訳は根本峻瑠氏(神戸大学人文学研究科学術研究員)が主に担当しました。

本研究会では、上記報告書の日本語版(『文化遺産研究の最前線』)翻訳作業と関連する奥村教授およびその他の参加者からの質問やコメントに対して、ションコイ教授が回答を行うという形式で議論が進みました。奥村教授からは文化遺産の保存と経済的活用に関する日本における対立的議論の紹介に加え、人文学における「イノベーション」のあり方、第二次世界大戦が文化遺産に与えた影響などに関する質問がなされました。ションコイ教授からは、自身の研究対象でもある「遺産」概念の歴史的変遷や3つの遺産モデル(レジーム)の特徴について解説がなされたほか、奥村教授の質問に対して、ヨーロッパにおける文化や遺産の経済的活用とそれへの歴史学者の関与、人文学の「イノベーション」の一つとして進行する歴史資料のデジタル化の現状と利点・問題点、第二次世界大戦後の世界におけるユネスコを通じた「世界遺産」概念の登場と普及、などの観点から回答が行われました。最後に、現状も文化的背景も異なる日本と欧州という二つの地域の間で文化遺産をめぐる対話を通じてお互いの事情への理解を深めることの有効性と、今後の議論の継続を確認して、会合は幕を閉じました。

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